新作は即完売!アジア各国でも絶大な人気を誇るmeethを生んだヒットメーカーの法則とは!?「長澤 重俊氏×ソンミ氏」スペシャル対談【後編】
今回の「後編」では、株式会社meeth CEO|美容研究家 ソンミ氏が“ヒットメーカー”になられるまでの道のりと、いま“ヒットメーカー”として活躍されている現状について、株式会社はくばく 代表取締役社長 長澤 重俊氏にお話をナビゲートしていただきます。
「美肌は最高のジュエリー」をコンセプトに。自分をもっと好きになるmeeth
長澤社長:初めてお店に伺わせていただきましたが、白で統一された空間はソンミCEOの印象にとてもマッチしますね。こちらはいつオープンされたのですか?
ソンミCEO:ありがとうございます。meethタッチアップラボは2020年9月7日にオープンしました。お客様一人一人としっかりと向き合う為に来店予約制(商品購入は予約不要)を導入しています。小さな会社だからこそできる、お客様との近い距離を大切にし、お手元でのタッチアップから肌診断まで、自身の肌としっかり向き合うことができる空間になっています。
長澤社長:なるほど。空間やコンセプトの細部まで、こだわりが感じられますが、ブランド自体を立ち上げたのはいつ頃ですか?
ソンミCEO:meethを立ち上げたのは2019年の3月です。今年で4周年になりますが、この4年の内に2回リブランディングをして今のmeethが生まれました。meethは私のコンプレックスから生まれたブランドです。20代の頃、原宿で声をかけていただいた事がきっかけで芸能活動を始めました。タレント所属契約の条件が良かったのでやってみようかなと思い芸能事務所に所属しましたが、キラキラした業界の裏側は私にとっては壮絶でした。
長澤社長:芸能業界は憧れますが、反面とても厳しいイメージがありますね。
ソンミCEO:そうなんです。芸能活動を通して挫折も味わいましたし、現実を受け入れるタイプなのでエゴサーチをしてショックを受けたり、自己肯定感がどんどん下がっていきました。ファッションショーやテレビに出演させていただく機会もあり、そこで出会った女優さんやモデルさんがテレビで見るより数百倍綺麗で。私はいつの間にか自分の容姿を認められなくなり、自信を喪失していました。20代前半ということもあり、無理なダイエットをしようと色々試しましたが、顔の大きさや身長なんて、生まれ持った骨格の問題ですからどうしようもなくて。そう思った時に、自分のチャームポイントはどこか探して伸ばしてあげた方が自分を好きになれますし、綺麗への近道ではないかと思いました。当時私は、周りの方に「ソンミちゃん肌の色が白いね」と褒められることがありましたが、お金をファッションやコスメに充てていた為、ジャンクフードばかり食べ、肌がボロボロでした。そこで私は「肌の色が白い」というチャームポイントをさらに磨き、肌の色が白くて、「綺麗だね」と褒めてもらえるようにスキンケアに努めたことがmeethの誕生に繋がっています。
長澤社長:なるほど、コンプレックスを武器に変えていったのですね。
ソンミCEO:スキンケアを続けていく中で、私は自分が使っていて本当に良いと思ったものをSNSなどでレビューし、発信していました。すると投稿を見てくださった方から「ソンミちゃんが紹介してくれたものを使ったら肌が綺麗になりました、すごくいいものを教えてくれてありがとう」という声を沢山いただいたのです。インフルエンサーさん達がSNSでPR案件をする中、ソンミちゃんはリンクもつけずに紹介してくれると。その時私は自分に自信がなかったので「ありがとう」という言葉を聞いて自信に変わりました。自分が使って良いものを紹介しただけで、こんなに喜んでくれる人がいる。まだまだ世の中に本当に心の底からいいなと思う商品は片手に収まるぐらいしかないと思い「だったら自分で1から妥協なく作ろう」と立ち上げたのがmeethです。ビジネスを勉強した事があるわけではなかったので不安でしたが、たった一人で自己資金300万円をmeethに投資し今日まで無我夢中で働き続けてきました。自分が納得できる最高の商品が完成していく喜びと、現実に納品されてくる膨大な在庫を目の当たりにしながら「この商品の良さをしっかりとお伝えし、お客様にご支持いただくことが果たしてできるのだろうか」という葛藤を抱えながら、日々現れる課題を、ひとつひとつ勉強しながらクリアしていきました。
長澤社長:自分でつくろうと思うのは凄いですね、普通なら紹介し続けて終わると思います。しかもお一人で、その飛躍に驚きました。
ソンミCEO:meethを通して、「スキンケア」を頑張れば、ここまで人生を変えられることを伝えたいです。肌が綺麗になると自信が生まれて、人と会いたくなる。そこから出会いが広がりチャンスが生まれる。私がmeethと出会って人生が変化していった様に。
ブランドを立ち上げる前、実際使っていていいなと思う商品は自分で工場に成分などを直接問い合わせていました。数年間もの間、この活動を続けていましたので、気づけば全国に工場との繋がりが生まれていました。今でも北海道や大阪、千葉、富山など6、7社と一緒に開発をしています。普通なら一つの工場で全ての商品を製造すると思うのですが、各工場の特性を知っているので、製品にあった工場選びも徹底しています。
毎日肌が変わって行く様に変化する環境へも配慮
長澤社長:商品へのこだわりが熱烈に伝わってきます。確かに工場との繋がりがあれば商品開発のハードルも下がりますし、工場ごとの特性が把握できていればより頼みやすいですよね。先ほど、開業されてから社会の移り変わる価値観や、自社が理想とする方向性を変える「リブランディング」を2回されたとおっしゃられていましたが、具体的にどのようなことに取り組まれたのですか?
ソンミCEO:どちらも環境に配慮した取り組みを導入しました。最初のリブランディングではパッケージを森林循環紙に変え、ベジタブルインクに変更しました。meethで「正しいスキンケアを続ければ、何歳になっても肌は生まれ変わる」事を発信していく中で環境問題への配慮は使命だと思い進化させていきました。2回目のリブランディングはmeeth誕生2周年のタイミングで外箱をダンボールに変更しました。ブランドを立ち上げたときから、動物実験は行っていませんし、meethタッチアップラボでは化粧水などの容器を回収しています。SDGsな会社として、こうした環境配慮にも常にアンテナを張っています。
転校続きで苦難の幼少期は「財産」
長澤社長:幼い頃からトレンドに敏感な方だったのでしょうか?
ソンミCEO:幼少期は物事を俯瞰して見ることができる、非常に現実的な子供でした。
長澤社長:落ち着いているという意味ですか?
ソンミCEO:そうですね。私が生まれてから両親は数ヶ月で離婚、その後母も父もそれぞれ再婚するなど小学生ながら「人生は平等じゃない」という事に気づきました。最初は大阪に住んでいたのですが転校も多くその後は長野県へ。その場に馴染めるのか常に不安がつきまとっていましたが今となって「転校」が多かった事は良かったと思っています。田舎から都会まで様々な土地での暮らしを経験したので自分の引き出しも増えましたし、今でも仲良くしている友人が多く、全て財産になっています。
15歳から叩き込まれた父直伝「ビジネス」の極意!?
ソンミCEO:父との再会も私に大きな影響を与えたと思います。私がお父さんと初めて会ったのは15歳の時でした。普通なら15年越しの初対面は感動の涙、だと思うのですが私が父に会って初めて発した言葉は「携帯買って」でした。
長澤社長:想像していた話からすると、なかなかギャップのある言葉ですね。
ソンミCEO:携帯はみんなもっていたので欲しくて、おねだりしました。その後、徐々に一緒に暮らす様になり父は私に厳しく教育してくれました。父は遅刻をした事が一度もなく常に集合時間の15分前には到着していて、ちょっと電車が遅延したとか、車が混んでいたなどで1、2分遅刻するだけでも叱られていました。もし大事な人と待ち合わせをしていた時に1分でも遅れてしまうと「すみません」から始まり平等に話もできないぞと。
長澤社長:私もそれはすごく気をつけていますね。こちらがマイナスからスタートしてしまいますから。
ソンミCEO:そうなんです。高校生の頃からもうすでにビジネスを教え込まれていたかのように育てられましたから、当時は厳しいと感じていたものの今自分で会社を設立してから父の言葉は本当に役に立っています。
ファンベースを基盤に、出会った全ての人を美肌へと導くmeeth
ソンミCEO:meethの製品は精度にこだわっている為、水も厳選しています。本当に肌に必要な成分を含む商品だけを販売している為、アイテム数は15個ほどしかありません。みなさん、ブースターに化粧水、美容液にマスクシート、アイクリームといったスキンケアアイテムの数が多ければ多い程きちんとケアしているという錯覚に陥ってしまいますが、肌に必要なものって水に溶ける水溶性油に溶けやすい油溶性の2つだけでいいんです。こうした正しい情報を発信したり、ブランドが普段見せない裏側を見せる事でお客様から信頼を得ています。
長澤社長:みなさんそんなに沢山の種類を毎日使っているのですか!?スキンケアは大変ですね。
ソンミCEO:お客様とベースの共感をすることは非常に大事だなと思っています。商品開発をする上でいつも念頭に置いているのは「世の中にないものをつくる」ことです。流行に便乗した製品は、他の会社さんが良いものを作ってくださるので、私は自分が心からほしいと思うアイテムを作ろうと思っています。中でも一番のおすすめしたいのが「エッセンシャルローション」です。どんな肌質の方にも使っていただけますし、meethを知らない美容家の方でも、meethの製品で驚いてもらえるかもしれないと思い美容液に使用する様な贅沢な成分を使用して化粧水にしました。今では日本のみならずアジアでもmeethのファンが増え続けています。台湾最大の美容大賞「女人我最大」でmeethの「& スキンオイル」がボディケア部門で「総合ボディオイル賞」を受賞したことから2020年より台湾向けに販売を開始、「女人我最大」では2020年の「モアリッチパック」大賞受賞に続き、2年連続での受賞を達成しました。昨年1月には、海外初の直営店をシンガポールにオープンし、今後は美意識の高い全ての方へ日本からアジア市場で挑戦したいと考えております。
長澤社長:すでに海外事業を展開されていたとは、スピードの速さに驚きました。
ソンミCEO:会社が大きくなっていっても私たちとお客様の距離は常に近い存在であり続けたいと考えております。meeth誕生2周年の時はお客様にほしい商品のプレゼンを行っていただき、2年かけて開発、今年の5月に発売をする予定です。常にお客様と二人三脚で続けてきたブランドなのでこれからも距離感を大切にしたイベントなど様々な企画にチャレンジしていきます。
ヒットメーカー二人に訊く、オートミールビジネスの発展方法は
編集部:今、世界的に注目され、日本でも急成長をしているオートミールというマーケットですが、まだ日本人の食習慣には馴染みがないのが事実。どうしたら日本人に浸透するのか?新しい習慣をつくる、ヒットを生み出すというご実績のあるお二人だからこそ想像できるアイディアやヒントなどをお聞かせください。
長澤社長:やっぱり食事は単品でとるものではないので、これは雑穀もそうなのですが、オートミールと食事全体のバランスや組み合わせが大切だと考えております。オートミールの1番の問題は、おかずとの相性だと私は考えます。オートミールを通した食事全体が楽しかったり、豊かだったり、美味しかったりするシーンにフィットすれば良い。いろんな方のライフスタイルがありますから、そこに差し込んだ時に「あ、これいいな」と思ってもらえる商品があればオートミールビジネスとしてもっと発展できるのではないでしょうか。日本人の傾向として、カリカリとかクリスピーの様な食感を好みますから、オートミールをその食感に近づける事も一つの策かなと私は考えます。
ソンミCEO:私実は今、スキンケアブランドmeethと並行して、食べるスキンケアブランドの&mealを経営しておりまして。&mealでは各ジャンルのドクター、そして管理栄養士さん、星がついたレストランで働いていたシェフ達が監修をしたオートミールクッキーを販売しております。
ソンミCEO:すごく人気があるのですが、実際ポップアップなどでお客様と接客しているとオートミールの存在を知らない方達がまだまだ多いなという印象を受けました。本当に美容に対する興味が深い方以外はオートミール自体を知らず、商品の説明をする前から「オートミールとは何か」という説明から始まることが多かったです。「グラノーラを食べますか?あれもオートミールなんですよ」と言った風な会話を何度も。オートミールをヒットさせる近道としては、美容や健康意識が高い方に訴求する方が早いのではないかと思います。例えば、オメガ3や、クレンズジュース等も健康・美容意識が高い方から広がっていますしSNSを通してもっと訴求できたらいいなと思います。ですが、そんな意識が高い方達でも口を揃えて言うのが「オートミールが体に良い事は分かるが、美味しく食べられるレシピを知らないので、食べ続けられる自信がない」という事でした。ですので、美容観点のポイントと、美味しいレシピを沢山発信していくことで、意識の高い方達が友達に広めたり、家族に振るまったりすることでじわじわとオートミールのヒットに繋がっていくのではないかと思います。私もオートミールを食べると明らかに体が変わります。お通じがよくなったり、腹持ちが良いので食べていて満足感があり、良いことだらけです。もっと多くの方にその良さを伝え、まずは食べてみてほしいですね。
編集部:全く異なる業界のヒットメーカーのお二人に、異なる目線でオートミール市場の発展に関するアイデアとヒントをいただき大変参考になりました。最後に本日のご感想をお聞かせください。
長澤社長:ソンミCEOがすごい経験を色々されていて驚きました。1番良いなと思ったのは、商品を売ろうとするのではなくお客様に喜んでもらいたいという気持ちで商品開発したり情報を発信している点です。だからきっと仕事が楽しいと思うんですよね。それが、売ろうとした途端に苦しくなりますから、私もそういう部分が大事なのだと今日改めて再認識させていただきました。ありがとうございました。
ソンミCEO:いえ、こちらこそありがとうございます。普段から口にしているはくばくさんの長澤社長とお会いできたことが何より光栄で、今日の経験をまたお客様に還元できるよう会社をもっと発展させていきたいと思いました。
編集部:本日は貴重なお時間をありがとうございました。
長澤社長&ソンミCEO:ありがとうございました。
文章/小関咲穂(Oatmeal BUSINESS 編集部) 取材/渡辺恵伶奈(Oatmeal BUSINESS 編集部) 取材コーディネート/(兼松株式会社 穀物部) 取材協力/工藤実衣菜(Oatmeal BUSINESS 編集部|MIIand) 構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.)